好き≠恋(日文版)-第32部分

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「きっかけは職場で怒られたことなんだって。父さんがうだうだ悩んでいたところに景子さんがやってきて、一喝入れられたみたいなのね。そっから。ああ見えても一応役員だからさ、誰かに叱られるなんて無いんだよ。それなのにパ�‘トの景子さんが、物凄い勢いで言うから惚れちゃったらしいんだよね。単純だから。そっから、猛烈に好きアピ�‘ルをして、景子さんが落ちたと。まあ、しつこいから、落ちずには居られなかったんじゃないかな？」
　クスクスと笑っている歩を見て、その光景が目に浮かんでしまい、健人も一緒になって笑った。どんな猛烈アピ�‘ルかは分からないけれど、あの強情な母を落とすぐらいだ。相当、しつこかったのだろう。好きだと言う強い気持ちがあったからこそ、母も落ちてしまったのだ。
　好きと言う気持ちは不安定だけれど、不思議な力を持っている。
「まぁ、それでも、景子さんが落ちてくれたおかげで、こうして、俺たちは一緒に居ることが出来るんだから……。感謝しなきゃね」
　同じ学校に通う時点で会うことはできたのだろうが、仲良くできたかどうかまでは不明だ。最初は嫌っていたけれど、今は摺�う。会えてよかったと、健人も思うことが出来る。
「……そうだな」
　素直にそう答えた健人を見て、歩は目を見張った。
「健人�‘！　歩く�‘ん！　そろそろ帰るわよ�‘！」
　遠くから母の声が響いてきて、健人は立ち上がった。ス�‘ツについた埃を払って、まだ座っている歩を見つめた。
「ほら、行くぞ」
「ん、うん。あ、ちょっと待って」
　歩は健人の腕を引っ張って、自分に引き寄せた。体重が移動して、倒れかけた健人の体を抱きしめて、唇を合わせる。
　ふわりと柔らかい風が吹いた。


　好きと言う感情が、恋に変わっていく。
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︱田︱田田｜　╰……　　
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